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国立がん研究センター 東病院

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事業代表者からのあいさつ

「がん患者さんにいち早く有効な薬剤を届けるために」

SCRUM-Japan事業代表者 大津 敦

近年の遺伝子診断と新薬創出技術の急速な進歩により、がん患者さん個々の遺伝子変化に応じた最適な治療薬の開発が世界的に進んでいます。SCRUM-Japan(産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業)は、そのような進歩をいち早く患者さんに届けるために全国260医療機関と製薬企業18社との共同研究プラットフォームとして国立がん研究センター東病院を中心に2015年に創設されました。進行した肺がん、消化器がんの患者さんのがん組織を最先端の遺伝子診断パネルを用いて一度に多数の遺伝子を解析し、その結果に応じて最適な治療薬の治験へ紹介して治療を行うシステムです。遺伝子解析費用は製薬企業からの共同研究資金で賄われており、実施している治験も企業治験はそれぞれの企業、医師主導治験は公的研究資金で実施していますので患者さんの追加負担は全くありません。

開始から4年間ですでに全国から1万人を超える方にご参加いただき、多くの患者さんに有効な治療薬を届けるとともに、5つの新薬の薬事承認(保険償還)を取得し、全国の患者さんに保険診療として有効な新薬をお届けすることが達成できています。また、これらの患者さんの遺伝子検査や治療の結果を十分な個人情報保護のもとで全国の医療機関と製薬企業の間で共有することで、次の新しい薬の開発や最適な治療法の開発に大きく貢献しています。世界的に見ても最大規模のグループに成長し、欧米を中心とした海外の先端的な医療・研究施設との共同研究も多数実施しており、がん患者さんに最新の有効かつ最適な治療薬をお届けしています。

2017年12月から新たに血液での遺伝子診断パネル(リキッドバイオプシー)を導入し、患者さんにとってより侵襲が少なく、複数回かつ短期間での遺伝子解析が可能となりました。すでに約2,000人の患者さんにご参加いただき、以前より多くの患者さんに最適な治療薬を届けることが可能となっています。また、2019年にLC-SCRUM-Asiaを創設し、アジア諸国の患者さんへも新しい薬をより早く届ける体制を構築しております。一方、日本国内では肺や消化器以外の固形がんへも遺伝子を解析する体制を拡大しました。さらに、個々の免疫機能や薬剤の感受性との関連性が示唆されている腸内細菌叢の解析を通して、より最適な治療薬の選択や有効な新薬の開発を産学の緊密な連携で行い、今後も全国のがん患者さんに世界最先端の治療をいち早く届けていく所存です。ぜひ多くの患者さんにご参加いただくとともに、多くのアカデミア研究機関、企業の皆さまとの共同研究も歓迎いたします。がん患者さんの切なる願いにいち早くこたえるため、各方面のご支援・ご協力をいただければ幸いです。