GOZILA Study(ゴジラスタディ)は リキッドバイオプシーを通して がん患者さんのよりよい治療に つなげていくことを目指した 研究プロジェクトです
GOZILA Studyはなぜ始まったの?
- ゴジラスタディは、がんの臨床研究の⼀つです。
- 臨床研究とは、病気の診断や治療⽅法を良くするために患者さんに協⼒していただき⾏う研究のことです。
- 患者さん・市⺠の皆さんと研究者がパートナーシップを結びながら、臨床研究を実施しました。詳しくはPPIのページへ
※GOZILA Study の「GOZILA」の日本語での正式名称は「結腸・直腸癌を含む消化器・腹部悪性腫瘍患者を対象としたリキッドバイオプシーに関する研究」です。
GI-SCREEN(現:MONSTAR-SCREENモンスタースクリーン)
がんには人それぞれで違う遺伝子の変化がみられ、その遺伝子の変化に応じた治療(標的治療)を行うことで、高い治療効果が得られることが知られていました。
しかし、日本では、がん患者さんががんの遺伝子を調べて治療を受けられる仕組みが十分ではありませんでした。
そこで私たちは、多くの患者さんが一度にたくさんのがんの遺伝子を調べて、その結果に合わせて治療を受けられるよう、2015年にSCRUM-Japan GI-SCREEN(スクラムジャパン ジーアイスクリーン)というプロジェクトを立ち上げました。
遺伝子の検査をもっと身近にするには…?
SCRUM-Japan GI-SCREENでは、
⼿術などで取り出したがんの⼀部(組織)を使って遺伝⼦を調べていました。
しかし、この⽅法にはいくつかの課題がありました。
※主に後天的な遺伝子の変化を見る検査
- 組織を取り出してから検査結果が出るまでに時間がかかるため、患者さんに結果をお伝えするのが
遅くなってしまいます。 - がんの組織を取るには⼿術や検査が必要で、患者さんの体に負担がかかります。
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がんは治療を受けるとその遺伝⼦を変化させて治療に耐える⼒(耐性)を
もつことが分かってきました。
しかし、以前に取った組織ではその後の変化を知ることができません。
これらの問題を解決するため、新しい検査⽅法を考える必要がありました。
⾎液で遺伝⼦を調べる⽅法って…?
そんな時、私達は「リキッドバイオプシー」という新しい技術に出会いました。
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リキッドバイオプシーは⾎液に出てきたがんのDNA(ctDNAといいます)を調べて、
遺伝⼦の変化を⾒つける技術です。 -
この⽅法が使えるようになれば、患者さんに負担をかけず、最新の遺伝⼦情報をもとに
速やかに治療を選べる可能性があります。
そこで、私達はがん患者さんにリキッドバイオプシーを⾏い、最適な治療を⾒つける
研究「GOZILA Study(ゴジラスタディ)」を2018年に⽴ち上げました。
- ゴジラスタディの⼤切な⽬標は、患者さん⼀⼈ひとりに最も適した治療を届けることです。
- このプロジェクトでは、リキッドバイオプシー(ctDNA検査)でがんに関連する
遺伝子の変化を詳しく調べます。 - その結果をもとに、それぞれの患者さんに合った治療⽅法を⾒つけ出すことを⽬指しています。
リキッドバイオプシー
リキッドバイオプシーは、⾎液や体液を採取して得た検体を解析して、遺伝⼦の変化の有無や種類などを調べる
検査技術です。
動画で詳しく説明しておりますのでぜひご視聴ください。
どうやって研究を進めるの?
ゴジラスタディでは、抗がん剤を受けている⽅や、
これから受ける予定の患者さんから血液を採取して遺伝子の検査をしました。
- ⾎液を使って⼀度に74種類の遺伝⼦を調べます。
検査結果が出たら、研究に参加している医師たちがその情報を慎重に検討します。 - そして、それぞれの患者さんに最も適していると考えられる治療法を提案します。
さらに、このプロジェクトでは新しい治療の可能性も探っています。通常の保険診療では使えない薬でも、
効果が期待できる場合には、特別な臨床試験(治験と呼ばれます)を通じて使えるようにしました。
リキッドバイオプシー検査を⽤いた治療
リキッドバイオプシー検査を⾏うことでより的確にがん患者さんへの治療を⾏うことができます。
参加いただいた
患者さんについて
2018年から2024年7月末までに全国約30施設より
5519名の患者さんに登録をしていただきました(現在登録は終了しています)。
本研究にご協力いただいた患者さん、
ご家族の皆さん、関係者の皆さんへ心から感謝申し上げます。
参加者インタビュー
※パートナーの方も一緒にお話を聞いていただきました。
研究に参加したときは、それどころじゃなくて全然覚えていません。でも、どうぞどうぞ、血でよければ使ってください、という気持ちだったと思う。ゴジラっていう名前も知らなかった。
研究は採血だけだったから全然負担がなかったので、もっとこうしたらよくなる、っていうことはないけれど、こういう研究をやっているよということをもっとみんなに知ってもらえるといいと思う。
患者さんに対しては、自分も頑張っているし、頑張ってくださいという気持ちです。研究者の先生には期待しています!
参加者インタビュー
もっといい治療が開発されるといいなと思って参加しました。他にも苦しんでいる人がいたら自分がきっかけになればいいかな、と思って。
リキッドバイオプシーの検査は採血だけなので負担もないし心配もなかったです。気持ちには波がありますが、がんが小さくなって共存して生きていくって選択肢ができると前向きに考えられるかな。
研究の説明文書はそんなに難しいと思わなかったです。研究に参加できる人はしてもいいのかなと思います。
リキッドバイオプシーを受けて自分の遺伝子のことをもっと知りたくなりました。
(参加者 50代 女性※パートナー)
ご家族の立場からインタビュー
妻がゴジラとそこから治験にもマッチできたというのはすごく良かったなって今でも思います。私たち家族にとっては効果に対する期待が第一にありました。それと、それほど大きな理由ではないけれども、将来的にお役に立てればというのも並行してあったように思います。
完治する薬がまだない中で、少しでも前向きに取り組めることの一つとして、今後自分自身も研究に協力できるようなことがあればと思います。
治療を通して気づく事とか家族で深まることがたくさんありました。ポジティブに捉えて、家族で大事な時間をすごく楽しく過ごすことも大切だと考えています。
どんな研究成果が出ているの?
参加者のおかげで研究が進み、多くの研究成果が出ています。
ゴジラスタディによって、より多くの患者さんに最善の医療を提供できることが期待されます。
レイサマリー
レイサマリー(Lay Summary)は専⾨家のために作られた医学論⽂を、だれが読んでも分かりやすいように患者さん・家族や市⺠の皆さんへ向けて試験の内容や結果をまとめたものです。
GOZILA Studyでは患者さんの立場の方々と相談しながら作成しました。
GOZILA Studyのレイサマリー
新しい治療法や検査法の承認について(薬事承認)
ゴジラスタディやそれに関係する研究や治験から、2つの治療薬と4つの検査(9つの適応)が薬事
承認され、保険診療でも使えるようになりました。
不安定性
不安定性
変異
異常
私たちはこれからも
役に立つ研究を進めていきたいと考えています
トランスレーショナル・リサーチ支援室のメンバー
全国の医療機関のメンバー